環境基準についてNo2(制定の経緯)
皆さん、こんにちは。行政書士の久保山です。
今日は環境基準の設定について(国立環境研究所資料から)お話しします。
環境基準設定の経緯について
環境基準は1967年(昭和42年)に制定された公害基本法第9条に、「人の健康を保護し、及び生活環
境を保全する上で維持されることが望ましい基準」と規定されたのがはじめです。
この環境基準は環境基本法にも引き継がれています。
公害防止に関する施策を進めるうえでの行政の努力目標である環境基準等がどのよ
うな科学的根拠のもとでどのように決められたのでしょうか。資料に沿ってみていきまし
ょう。
環境基準の位置づけと性格
環境基準は先にみたように公害対策基本法第9条第1項に規定され、同条第4項で「政
府は、公害の防止に関する施策を総合的かつ有効適切に講ずること
により、環境基準が確保されるよう努めなければならない」と規定され
ており、公害防止に関する進める上での政府の努力目標であることが明示されて
います。
この規定は1993年(平成5年)に制定された環境基本法第16条に引き継がれ
ています。
環境基準設定の対象は当初、大気の汚染、水質の汚濁、騒音の3分野でし
たが現在、土壌の汚染の分野でも環境基準が設定されています。
なお、ダイオキシン類については環境基本法ではないダイオキシン類対策
特別措置法第7条の規定に基づいて大気、水質(水底の底質を含む)、
土壌という環境媒体ごとに定められています。
環境基準は人の健康を保護し生活環境を保全する見地から、発生源の集積による汚染を
対象とする施策を打ち出すために有効と考えられ、公害対策基本法に規定されました。
環境基準は行政上の目標です。「維持されることが望ましい基準」です。環
境基準を最大許容限度や受忍限度とする考え方をとれば、人の健康等の維持のための最
低限度として、あるいはこの程度までの汚染は我慢しなければならないという消極的なも
のになります。しかし、「望ましい基準」とすることで、より積極的な行政上の
目標としての性格をもっています。
環境基準が定められると、その維持・達成のための施策が講じられ、例えば大気汚染や 水質汚濁については、多くの場合、排出基準が設定されて工場・事業所に対して遵守が