環境法令における有害物質(水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、廃棄物法等)No5

query_builder 2023/06/28
土壌汚染対策水質汚濁

みなさん、こんにちは。水質汚濁防止法土壌汚染対策法重金属等

 

有害物質についてのおはなしです。今回は第5回目でふっ素(F)についてです。

 

では、ふっ素をみていきましょう。

 

土壌汚染対策法第二種特定有害物質として規定されています。

 

土壌汚染対策法でも、水質汚濁防止法でも環境基準指定項目となっています。

 

ふっ素は原子番号9の元素です。ハロゲンと呼ばれ塩素、臭素そしてよう素な

 

どの仲間です。物理的性質は気体で反応性が高く有害です。

 

古くから製鉄などでふっ素の化合物である蛍石(Ca2)が使われています。また、フッ

 

化水素は蛍石に硫酸を加えることで発生します。しかし、ふっ素はその反応性の高さから、

 

ガラス器具を壊したり、実験している人が漏れ出たふっ素で中毒になったりしたため、

 

なかなか単離できませんでした。実際にふっ素を研究していた研究者が何人もふっ素

 

中毒で亡くなっています。

その反応性の高さから、天然には蛍石や氷晶石などとして存在し、基本的には単体では

 

存在しません。ヘリウムとネオン以外のほとんどの元素を酸化してふっ素化合物をつくります。

 

電気陰性度は全元素の中で最も低く、化合物中では常にー1の酸化数を取ります。

 

ガラスや白金も侵すため、単体ではなく化合物の形でポリエチレン容器やテフロン加工さ

 

れた容器で保存されます。

 

ふっ素の化学反応をいくつか挙げてみます。

 

・水素とは光の存在する中では常温で反応しフッ化水素を生成する。

 

・水と反応させるとフッ化水素、酸素とオゾンを生成する。

 

・金属とは室温から比較的低温で反応する。

 

・ニッケル、銅、鉛は不動態皮膜を形成するため、比較的腐食しにくい。

 

・ケイ素の単体とは爆発的に反応する。

 

・金、白金とも主に500℃以上で反応する。

 

以上、ほとんどの元素と反応します。

 

次にその用途をみていきましょう。

 

ふっ素は反応性が高いため、単体で使われることは少なく、フッ化水素を介して利用

 

されるケースがほとんどですがウラン235を単離する時に遠心分離機にかける前段階と

 

して六フッ化ウラン(UF6)の製造にふっ素単体を利用するケースがあります。

 

ふっ素を分子構造に含むふっ素ゴムやふっ素樹脂は酸・アルカリ等の薬品に強く、耐

 

摩耗性にも優れてるため、自動車部品や半導体製造装置の部品に使われています。

 

半導体製造に使われるエキシマレーザーにはフッ素とアルゴンの混合ガスが使われま

 

す。また、半導体のエッチングを行う際に純度が非常に高いフッ化水素が使われています。


また、歯科用途としてふっ素化合物が使われています。歯磨き剤などふっ素入りという

 

商品があります。日本では上水道にふっ素を添加している自治体はありませんが、アメリカ

 

では結構添加している自治体が多いようです。

 

ふっ素の毒性を慢性中毒と急性中毒の両面から見てみましょう。

 

慢性中毒には長年飲料水等によって過量のふっ素を摂取したときに生じるもので斑状歯

 

と骨硬化症があります。

 

斑状歯は適量の2~3倍以上の量のフッ化物をあごの骨の中で歯が作られる時期に継

 

続して接種した場合におきます

 

骨硬化症は適量の10倍以上のフッ化物を数十年摂取し続けた場合に起こるケー

 

スがあります。

 

急性中毒はどうでしょうか。

多量のフッ化物を一時に摂取したときに生ずるもので、吐き気、嘔吐、腹部不快感など

 

の症状が現れます。フッ化物の急性中毒量は、体重1㎏あたり2㎎です。また、

 

一度に2500㎎(2.5g)を摂取すると中毒死します。

 

ここで注意したいのはふっ素単体の場合とふっ素化合物のばあいの違い

 

です。単体のふっ素はふっ素化合物とは比べ物にならないくらい危険なのは、科学者が

 

何人も亡くなっていることからも分かります。

 

ただし、通常の使用状況では全く問題はありません。因みに海水1Lには1.3㎎程度のふっ

 

素が含まれていますが、魚には全く問題がありません。

 

----------------------------------------------------------------------

久保山行政書士事務所

住所:静岡県静岡市葵区田町2-33-2

電話番号:054-221-5344

----------------------------------------------------------------------