環境法令における有害物質(水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、廃棄物法)
みなさん、こんにちは今日は水質汚濁防止法や土壌汚染対策法の重金属等の
有害物質についてのおはなしです。今回はカドミウム、六価クロム、シアン、
水銀(アルキル水銀)についてです。
では、カドミウムから順番にみていきましょう。。
カドミウム(Cd) 原子番号48の金属元素で亜鉛とよく似ているので、亜鉛鉱
に多く含まれています。
土壌汚染対策法の第2種特定有害物質となっています。
体内に吸収されると、腎臓に障害を引き起こすなどの毒性があります。
この重金属が原因で引き起こされる公害病は「イタイイタイ病」が有名です。
この病気は富山県の亜鉛鉱山がある神通川流域で発見されました。昭和の時代に
公害関連の法律が整備されるきっかけの一つに数えられます。
その他にも、肺気腫、腎障害、蛋白尿がみられます。さらに発がん物質としても
知られています
かつては塗料の顔料、ニッカド電池に使われていました。また、自動車関連業界でメッキ
材料や潤滑油にも使われていました。
しかし、その毒性から今では使われることは少なくなっています。
土壌汚染対策法の地歴調査では、過去に使用された例があるかを調査する
必要があります。
六価クロムをみていきましょう。
六価クロムCr+6 はクロムのうちCr(Ⅵ)化合物のことです。天然には主に
三価クロムCr+3 として存在しています。
三価のクロムはサプリメントに使用されることもあり比較的安全ですが、
六価のクロムは毒性を持ちます。代表的な六価クロムの二クロム酸カリウムの
致死量は約0.5~1グラムです。
六価クロムは強い酸化作用のある不安定な物質で自身は還元されて、有機物などを
酸化させる働きがあります。
六価クロムの毒性はこの性質に由来します。 六価クロムの用途としてはクロメイトメッキなどがあり、家庭用品にも使用されて います。また、顔料としての用途もあります。 次にその毒性をみていきましょう。 六価クロムが皮膚や粘膜に付着した状態を放置すると、皮膚炎や腫瘍の原因となります。 汚染された水を飲むと嘔吐の現象が現われ、飛散した六価クロムの粉末を吸い込むと 鼻中隔に腫瘍ができ穴が開くなどの病気を引き起こします。 DNAの損傷も引き起こすため発がん性物質でもあります。大量に吸引すれば呼吸 障害を引き起こし、長期的には肺癌につながります。 また、長期間の摂取は肝臓障害・貧血・大腸がん・胃がんなどの原因にも なりえます。 日本ではかつて「地盤強化剤」という名目で、クロムスラグを埋め立てることが 奨励され、広範囲に埋め立てられていました。 その名残で、現在でも六価クロムによる汚染は顕在化することが有ります。 現在、地盤改良のため「セメント及びセメント系固化材」が広く用いられています が条件によっては六価クロムが土壌環境基準を超えることが有るため土壌改良の際 には注意が必要です。 次にシアンについてみていきましょう。
シアン化合物 (CN)
といわれることが多いです。また、シアン化物、青酸化合物、青酸物 とも言われます。 代表例としてはシアン化ナトリウム(NaCN)、シアン化カリウム(KCN) などがあり、 配位子として(CN―)をもつ錯体(例フェリシアン化カリウム、K3[Fe(CN)6]も 広義のシアン化合物です。 一般的に、シアン化合物は人体に有害で、ごく少量で死に至ります。このことから、しばし ば毒殺や自殺に使用されます。 シアンは微生物、菌類、藻類によって、自然界でもつくられます。また、アーモンド といった植物にも微量ですが存在します。 シアンの用途としてはシアン化物イオンの供給源として数多くの有機合成で用いられます。 また、金属加工の工場やメッキ工場でも使用されます。 シアン化合物による中毒は工業用に使用されることから男性に多く、自殺の手段としても 多く使用されます。 服用した際の中毒症状としては、消化管粘膜の腐食、酵素活性の阻害、ヘモグロビンとの 結合による呼吸困難などがあります。 この稿の最後に水銀(アルキル水銀)についてみていきましょう。 水銀 Hgは原子番号80の元素です。常温、常圧で凝固しない唯一の金属です。 主に辰砂(HgS)若しくは金属水銀として産出します。 水銀は各種金属と混合し、アマルガムという合金を作ります。ただ、白金、マンガン、 鉄、コバルト、ニッケル、タングステンとは合金を作らないので、水銀の保存に は鉄の容器が使われます。 日本でも、金・銀の精錬に使われ、生産量が急増したそうです。 このアマルガムは水銀の量によって、液体にも固体にもなります。 水銀は生物に対する毒性が強く、現在では使用が控えられています。 しかし、つい最近まで、電池、体温計、血圧計、蛍光灯などに使われていました。 古代において、辰砂(HgS、水銀朱)は古墳の石室や棺の内部に塗こめられたりして いました。 また、不老不死の仙薬として飲まれてもいました。 秦の始皇帝が飲んでいたことでも有名です。現代の我々にとっては毒を飲んでいるに 等しい行為ですが。
かつて有機水銀は農薬として広く使われていました。イラクではメチル水銀で汚染された 小麦で作ったパンで有機水銀中毒がおき、400人以上が死亡する事故があったそうです。 無機水銀も毒性が強いということで使用が控えられるようになっています。 有機水銀は無機水銀に比べ毒性が非常に強く、特にメチル水銀の中枢神経系に 対する毒性は特に高く、熊本県八代海の水俣病や阿賀野川流域の第二水俣病が 世界的にも有名です。 この水銀中毒事件も公害関連法制定のきっかけになりました。 今日はこのくらいにしておきます。
久保山行政書士事務所
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