盛土条例(他都道府県条例との比較)

query_builder 2023/05/11
盛土条例

みなさん、こんにちは。


行政書士の久保山です。

 



きょうは、526日に「宅地造成等規制法の一部を改正する法律(宅地造成及び特定

 

盛土規制法)」が施行されるのに合わせ、各県の盛土条例を見ながら、「静岡県盛土条例」

 

との比較をしてみようと思います。

 

では、各県の条例にはどんなものがあるでしょうか。

 

まず、その歴史から見ていきましょう。

 

条例制定の動きは千葉県から始まったようです。まず、千葉県市川市が、全国で初めて、

 

昭和55年に「市川市土砂等による土地の埋立、盛土及びたい積の規制に関する条例」を制

 

定し、その後千葉県内及び首都圏の市町村を中心に条例制定の動きが広がったようです。

 

今から43年も前のことです。

 

そして、平成9年には、千葉県が「千葉県土砂等の埋立等による土壌の汚染及び


災害発生の防止に関する条例を制定しました。

 

その後、多くの都道府県や市町村で、土砂埋立て等の規制に関する条例が制定されてきてい

 

ます。

 

先述の通り、都道府県ではじめて制定されたのは平成9年の千葉県条例です。その後、平成

 

10年代から平成2122年にかけて首都圏、近畿地方、四国、北部九州等の15府県で、

 

制定の動きがありました。、その後、平成25年に群馬県で、平成26年には大阪府で制定さ

 

れています。その後令和に入っても三重県、宮城県、佐賀県で条例が制定されています。

 

これらの条例は「民有地に積上げられた土砂が河川区域に押し出され、河川管理や漁業に支

 

障をきたす恐れのある事例が発生している。」や「豪雨で残土処分場が崩落し、下流地域へ

 

大量の土砂が流出し、農業施設や道路に甚大な被害が生じた。」の事例が条例制定のきっか

 

けとなっています。

 

そんななか、記憶に新しい静岡県熱海市の土石流災害が発生しました。それが契機となり、

 

鳥取県条例が令和312月に、新潟県条例及び静岡県条例(静岡県盛土等の規制に

 

関する条例)が令和43に、長野県条例が令和47月に制定されました。

 



では、これらの条例の目的はどんなものでしょうか。

 

これらの条例はいずれも、災害防止や生活環境保全を目的とし、事業者による一定以上の面

 

積の土砂埋立て等(土砂の埋立、盛土その他の堆積)を知事の許可制とし、違反行為に対し

 

ては罰則規定を設けています。許可に当たっては、埋立て等の形状や構造に関する基準等に

 

適合することを要件としています。

 

許可を要する面積要件として静岡県条例は1000であるのに対し、城県条例は5000

 

㎡、神奈川県条例と広島県条例が2000㎡、兵庫県条例が1000㎡その他の府県の条例


では、3000㎡以上としています。

 

 なお、茨城県条例(令和56月改正後)は県条例の許可対象や市町村条例の許可


等以外の埋立てについては、知事への届出を義務付けています。




では、土壌の汚染についての規定はどうなっているのでしょうか。

 

静岡県は土壌汚染対策法に規定されている物質以外にダイオキシン類が加わっています

 

これは、今のところ静岡県だけの規定です。

 

他の府県では土壌の汚染に足してはどんな規定を置いているでしょうか。

 

千葉県、栃木県、愛媛県、大分県、岐阜県、高知県及び佐賀県の条例は、土壌の汚染防止を


目的に明記し、この7県並びに埼玉県、兵庫県、徳島県、和歌山県、京都府、群馬県及び


三重県の条例は土壌汚染の観点から安全基準に適合しない土砂の埋立て等を禁止しています。

 

私見ですが、静岡県盛土条例でダイオキシン類まで規制するのはどうでしょうか。

 

汚染の蓋然性がどのくらいあるのか、分析の手間がどれくらいかかるのか、費用的にはどう

 

なのか、等々見直す必要があるのではないでしょうか。

 

実際のところ、土壌分析の費用の3分の1から2分の1ほどがダイオキシン類の分析費

 

用となります。

 

今日は、このくらいにします。

 

 


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